店主のペン語り

ステーショナリーに関して、日頃感じていることやお店であったことなど、万年筆の話題を中心に週1回(毎週金曜日)の更新でお伝えするコーナーです。
このコラムを読んで皆様がそのペンに興味を持たれて、使ってみたいと思っていただけたらとても嬉しく思います。

バックナンバー

2012.02.03 WRITING LAB.革封筒

2012.01.27 美しい文字が書けるペン パイロットシルバーン

2012.01.20 オリジナル万年筆 「 Cigar 」

2012.01.13 工房楔の新作 マンハッタンボールペン

2012.01.06 ペリカンM320パールホワイト

2011.12.23 忘れていた書く楽しみ ペリカンM1000

2011.12.16 WRITING LAB. サマーオイルメモノート

2011.12.09 年賀状と万年筆

2011.12.02 満寿屋の原稿用紙

2011.11.25 大和出版印刷 CIRO 白にこだわったノート

2011.11.18 大人が初めて使う万年筆

2011.11.11 オリジナルダイアリーカバー完成

2011.11.04 ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ

2011.10.28 WRITING LAB.立ち上げとキャンバス地ダイアリーカバー

2011.10.21 パイロット キャップレスマットブラック 名作の復刻

2011.10.14 万年筆で書ける和紙 きよこハウスみつまた紙

2011.10.07 カランダッシュ RNX316

2011.09.30 素材を愛でる

2011.09.23 ライフ紙製品 見習うべき姿勢

2011.09.16 黒インク

2011.09.09 素材の厚さ ~工房楔 クローズドエンド万年筆~

2011.09.02 渋い万年筆 パイロット変わり塗り石目

2011.08.26 ペンレスト兼用万年筆ケース新色発売

2011.08.19 中間の忘れられやすい存在 ペリカンスーベレーンM600

2011.08.12 アウロラ88オールブラックの普遍性

2011.08.05 オマスミロードとボローニヤ人

2011.07.29 リスシオダイアリーに向かう

2011.07.22 ラミーサファリ フレンドシップペン

2011.07.15 アウロラ 大陸シリーズの魅力

2011.07.08 試筆の極意

2011.07.01 M1005デモンストレーター オーバーサイズへの誘い

2011.06.24 オマス「マザーオブパールマルーン」 小豆色の復活

2011.06.17 万年筆の書き味

2011.06.10 ペンレスト兼用万年筆ケース3本用完成

2011.06.03 工房楔 コンプロット4ミニ完成

2011.05.27 ホームページ調整項目の付加について

2011.05.20 中屋万年筆のオーダーの仕方

2011.05.13 オリジナル長寸用万年筆ケース完成

2011.05.06 夏服の万年筆

2011.04.30 ペリカンM800イタリックライティング

2011.04.22 革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース

2011.04.15 デルタについて考える

2011.04.08 フォーマルなボールペン・ファーバーカステル エボニー

2011.04.01 タフなモノに惹かれる ル・ボナー3本差しペンケース

2011.03.25 合格のお祝いに当店でお役に立てるもの

2011.03.18 プロフィット30周年記念万年筆ブライヤー

2011.03.11 カンダミサコ文庫本サイズノートカバー・大切に使いたい設え

2011.03.04 ペンシルエクステンダー楔トゥラフォーロアルミ

2011.02.25 カンダミサコ新作「ブッテーロ革ペントレイ」完成

2011.02.18 自分らしいインク色探し ~当店オリジナルインクについて~

2011.02.11 実用的に意味のある吸入式 ”カスタム823”

2011.02.04 ファーバーカステル伯爵コレクション

2011.01.28 カスタム743

2011.01.21 唸らせるペリカンらしさ M320 ルビーレッド

2011.01.14 パイロットシルバーン、手帳用の万年筆

2011.01.07 ペリカンM450 伝わりにくかった上質

2010.12.24 3本差しペンケースの取り合わせ

2010.12.17 きれいな文字が書ける万年筆

2010.12.10 オリジナルダイアリーとダイアリーカバー

2010.12.03 ミネルバボックスの革

2010.11.26 残心-ZANSHIN-シリーズ

2010.11.19 カンダミサコミネルバボックスノートカバー

2010.11.12 オリジナルダイアリーカバー

2010.11.05 当店のペン先調整

2010.10.29 趣味の道具か、実用か ペリカンM800ブルー・オ・ブルー

2010.10.22 ダイアリーの季節

2010.10.15 追い込まれて出会った道具「Liscio-1薄型ノート」

2010.10.08 工房楔 芯ホルダー

2010.10.01 「ペン語り」電子書籍化

2010.09.24 アウロラマーレリグリア・ロマンを感じるもの作り

2010.09.17 人前で話すことと情報カード

2010.09.10 分度器ドットコムイベント ”文旅”

2010.09.03 日本万年筆の伝統 セーラー木軸スタンダード

2010.08.27 旧来オマスの魅力を持った新製品 ”クルーズ”

2010.08.20 ラミーサファリ

2010.08.13 雰囲気のあるペンということ

2010.08.06 柔らかい書き味というイメージ

2010.07.30 ペリカンM205DUO

2010.07.23 リスシオワン・ルーズリーフA5発売

2010.07.16 旅の装備 ル・ボナーのペンケース

2010.07.09 ヘミングウェイにも勧めたい 楔ペンシルホルダートゥラフォーロ

2010.07.02 オマス本社訪問

2010.06.25 カンダミサコ デスクマット完成

2010.06.18 万年筆をめぐる旅 1・ベルリン

2010.05.28 リスシオワンルーズリーフ新発売

2010.05.21 オリジナル万年筆 セレネ初回ロット完成

2010.05.14 机上のヌシ

2010.05.06 机上の充実 思考の時間

2010.04.29 旅ノートとブルーブラック、2本目の旅万年筆

2010.04.23 アルボレス 美しいペーパーステーショナリー

2010.04.16 800番 それまでの生活との決別

2010.04.09 旅ノート

2010.04.02 憧れて、諦めていた 万年筆

2010.03.26 Liscio-Port(リスシオ・ポルト)メモホルダー

2010.03.19 プラチナブライヤーその後

2010.03.12 オンリーワンの存在感 ラミー サファリ

2010.03.05 ジャケットのポケットにライフクロス手帳

2010.02.26 不景気と万年筆メーカーの変化

2010.02.16 カンダミサコさんのペーパーウェイト発売

2010.02.12 コンプロット10を使い始めて

2010.02.05 オマス~緊張感と独自性~

2010.01.29 伝説になった加藤さん

2010.01.22 字幅の好みと選択

2010.01.15 エラボーの復活

2010.01.07 オリジナル万年筆 Selene(セレネ)

2009.12.25 ペン業界がするべきこと

2009.12.18 万年筆で年賀状

2009.12.11 ラミーダイアログ3

2009.12.04 カンダミサコさんのペンシース

2009.11.27 木の良さに甘えない ~クローズドエンド楔 万年筆~

2009.11.20 リスシオダイアリーカバー完成2~ダブルの誘惑~

2009.11.13 オリジナルダイアリーカバー完成1 ~シングルタイプ~

2009.11.06 インクが表現する世界観~セーラー季節限定インク色織々冬~

2009.10.30 目盛りへの憧れ

2009.10.23 作家たちの傍らにあった小判型のペントレイ

2009.10.16 手帳に使う細字万年筆

2009.10.09 Pen and message. 2nd Anniversary キーホルダー完成

2009.10.02 吸入式であるということ セーラープロフィットレアロ

2009.09.25 イベント 楔の奏でる木の文具展を終えて

2009.09.18 工房楔 木工家という生き方

2009.09.11 夢の小箱 ル・ボナーデブペンケース

2009.09.04 リスシオ・ワン ダイアリー完成

2009.08.28 旅に持ち出したオプティマ

2009.08.21 手帳についての個人的な想い

2009.08.14 気持ちを伝える葉書

2009.08.07 旅の備え

2009.07.31 ヨーロッパ伝統工芸品の佇まい カランダッシュ エクリドール

2009.07.24 字幅の話

2009.07.17 バラ紙と綴じたメモとコラボメモカバー新作

2009.07.10 文具業界の最も華やかな日“ISOT”

2009.07.03 リスシオ1製品第1弾発売~理想の紙を作ってしまった印刷会社の社長の情熱~

2009.06.26 モンテグラッパエキストラ1930

2009.06.19 デュポン 「ディフィ」ボールペンリフィル

2009.06.12 結婚祝いの万年筆

2009.06.05 父に贈る万年筆

2009.05.29 ペン先調整考

2009.05.22 工房 楔(せつ)

2009.05.15 ファーバーカステル新作イントゥイションに見るトレンド

2009.05.08 インターネット色見本完成しました

2009.05.01 マーレン ~掘り下げる楽しさと万年筆の広がりのバランス~

2009.04.24 格の違いという魅力 M450

2009.04.17 ~ペンのアクセサリーという考え方~ ペンクリップ発売

2009.04.10 変わらないという戦略~ヤード・オ・レッド~

2009.04.04 さりげなくメモをとり、生かす ~コラボメモカバー~

2009.03.27 Conplotto-10(コンプロット-ディエーチ)

2009.03.20 好きなインク選び

2009.03.13 息子へ贈る万年筆

2009.03.06 神谷利男著 「My Favorite Fountain Pens」

2009.02.27 モンテグラッパ エンブレマ

2009.02.20 試筆用紙を作りました

2009.02.13 ラミー サファリの価値観

2009.02.06 ペリカン「ポーラーライト」と大人たちとの時間

2009.01.30 ル・ボナーのペンケース

2009.01.22 プラチナ ブライヤー

2009.01.15 アウロラ オプティマ

2009.01.08 硬派な道具 「シルバーン」

2008.12.25 手帳用の万年筆を選ぶ

2008.12.18 デルタ ドルチェビータ ピストンフィリング登場

2008.12.11 司法試験の万年筆

2008.12.05 ビスコンティ オペラ エレメンツ

2008.11.28 大和出版印刷製本ノート 第2弾

2008.11.20 シェーファー VLR

2008.11.13 柘製作所 キャンパスマイカルタ

2008.11.07 中屋万年筆 シガーモデル

2008.10.31 ペリカン M400

2008.10.23 パイロット カスタム 楓(かえで)

2008.10.17 ビスコンティ ヴァンゴッホシリーズ

2008.10.10 「モンテグラッパ ネロウーノ」


憧れて、諦めていた 万年筆

仕事柄今まで本当にたくさんの素晴らしいペンを見てきました。
店に新しく入ってきたもの、お客様が修理などで持って来られたものなどの中には、強く心が動かされて、強烈に印象に残っているペンがいくつかあります。

モンテグラッパシガーは、茶色のセルロイドを葉巻のように1本の筒に見せたペンで、タバコの葉を模したクリップが付いているとてもかっこ良く、でも当時30歳になったばかりの私にはまだ早すぎると思っていました。

シェーファーコノソアールをベースにした、錫製のボディに竹の模様のアジアシリーズにも強く心を奪われました。
重すぎて書きにくくてもいい、これを自分のペンケースに入れておきたいと思いました。
今しか買うことのできない限定品で、チャンスは今しかないと分かっていましたが、経済的な理由で手に入れることを諦めていました。

同様に強く憧れて、本当に素晴らしいと思いながら手に入れることを諦めていたものに、ペリカン1931ホワイトゴールドがありました。
往年のペリカンの名品No.100の希少なモデルを復刻したシリーズのうちのひとつです。
ホワイトゴールドという名前ですが、本当にホワイトゴールドではなく、ジャーマンシルバーという素材で、スーベレーンの金属パーツに使われています。黒ずむことのない、とても扱い易い実用的な素材です。

吸入ノブはエボナイトで、そのあたりにもとてもこだわりを感じます。
良い万年筆と言えば、大きいものがほとんどですが、このシリーズは数少ない小さくて良いもののひとつで、紳士の万年筆といった風情も私の心を捉えました。
いつかこのペンを使うようになりたいととても強く憧れました。

でもすぐにホワイトゴールドも私の前から姿を消していきました。

それから何年も経って、ホワイトゴールドを見ることもなく、その存在すら忘れかけていました。

しかし先日、どこから出てきたのか、売っていただけますか、という筆記具問屋様の言葉とともに、1931ホワイトゴールドが店に入ってきました。
日頃から、自分の一番欲しいものからお客様に買ってもらうのがプロだと自分に言い聞かせていて、お客様にもそう宣言していました。
万年筆店の店主として、それが正しくお客様から信頼される店主像で、そうありたいと思っていました。

しかし、今回はそんな事は言っていられない状況でした。

憧れて、諦めてしまった万年筆が目の前にやってきたことで、プロとしての意識は薄れてしまい、調整テーブルのペン置きに置いておいた連休の3日間、お客様にお勧めしながらも気が気ではありませんでした。

そして私は結局ホワイトゴールドを手に入れてしまいました。
使い出したホワイトゴールドのキャップは収納時はコンパクトで、キャップを尻軸に差すととても使いやすいサイズになり、少し細めのボディとともに、とても実用的なサイズであることが分かりました。ペン先も硬くとても滑りの良いもので、今はこのペンばかりを使っています。

オリジナルである1931年に作られたNo100の特別バージョンも手に入れて、もう1本同じサイズのペリカンも手に入れて、字幅違いでピッタリのサイズのペンケースに収めて使いたいと私には珍しく夢が膨らんでいます。

新しい万年筆を手に入れると、仕事の時間が今まで以上にとても楽しくなりますが、とても楽しい仕事時間を過ごしています。
万年筆を使って書くことも自分の仕事だと、皆様から横取りしたこの万年筆に誓い、皆様への情報発信にも努力していきたいと思っています。

憧れて、諦めていた 万年筆

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