ステーショナリーに関して、日頃感じていることやお店であったことなど、万年筆の話題を中心に週1回(毎週金曜日)の更新でお伝えするコーナーです。
このコラムを読んで皆様がそのペンに興味を持たれて、使ってみたいと思っていただけたらとても嬉しく思います。
2012.01.27 美しい文字が書けるペン パイロットシルバーン
2011.12.23 忘れていた書く楽しみ ペリカンM1000
2011.12.16 WRITING LAB. サマーオイルメモノート
2011.11.25 大和出版印刷 CIRO 白にこだわったノート
2011.11.04 ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ
2011.10.28 WRITING LAB.立ち上げとキャンバス地ダイアリーカバー
2011.10.21 パイロット キャップレスマットブラック 名作の復刻
2011.10.14 万年筆で書ける和紙 きよこハウスみつまた紙
2011.09.09 素材の厚さ ~工房楔 クローズドエンド万年筆~
2011.08.19 中間の忘れられやすい存在 ペリカンスーベレーンM600
2011.07.01 M1005デモンストレーター オーバーサイズへの誘い
2011.06.24 オマス「マザーオブパールマルーン」 小豆色の復活
2011.04.30 ペリカンM800イタリックライティング
2011.04.22 革と万年筆 カンダミサコ2本差しペンシース
2011.04.08 フォーマルなボールペン・ファーバーカステル エボニー
2011.04.01 タフなモノに惹かれる ル・ボナー3本差しペンケース
2011.03.18 プロフィット30周年記念万年筆ブライヤー
2011.03.11 カンダミサコ文庫本サイズノートカバー・大切に使いたい設え
2011.03.04 ペンシルエクステンダー楔トゥラフォーロアルミ
2011.02.25 カンダミサコ新作「ブッテーロ革ペントレイ」完成
2011.02.18 自分らしいインク色探し ~当店オリジナルインクについて~
2011.02.11 実用的に意味のある吸入式 ”カスタム823”
2011.01.21 唸らせるペリカンらしさ M320 ルビーレッド
2011.01.07 ペリカンM450 伝わりにくかった上質
2010.12.10 オリジナルダイアリーとダイアリーカバー
2010.11.19 カンダミサコミネルバボックスノートカバー
2010.10.29 趣味の道具か、実用か ペリカンM800ブルー・オ・ブルー
2010.10.15 追い込まれて出会った道具「Liscio-1薄型ノート」
2010.09.24 アウロラマーレリグリア・ロマンを感じるもの作り
2010.09.03 日本万年筆の伝統 セーラー木軸スタンダード
2010.08.27 旧来オマスの魅力を持った新製品 ”クルーズ”
2010.07.09 ヘミングウェイにも勧めたい 楔ペンシルホルダートゥラフォーロ
2010.05.21 オリジナル万年筆 セレネ初回ロット完成
2010.04.29 旅ノートとブルーブラック、2本目の旅万年筆
2010.04.23 アルボレス 美しいペーパーステーショナリー
2010.03.26 Liscio-Port(リスシオ・ポルト)メモホルダー
2010.03.12 オンリーワンの存在感 ラミー サファリ
2010.03.05 ジャケットのポケットにライフクロス手帳
2010.02.16 カンダミサコさんのペーパーウェイト発売
2010.01.07 オリジナル万年筆 Selene(セレネ)
2009.11.27 木の良さに甘えない ~クローズドエンド楔 万年筆~
2009.11.20 リスシオダイアリーカバー完成2~ダブルの誘惑~
2009.11.13 オリジナルダイアリーカバー完成1 ~シングルタイプ~
2009.11.06 インクが表現する世界観~セーラー季節限定インク色織々冬~
2009.10.23 作家たちの傍らにあった小判型のペントレイ
2009.10.09 Pen and message. 2nd Anniversary キーホルダー完成
2009.10.02 吸入式であるということ セーラープロフィットレアロ
2009.09.25 イベント 楔の奏でる木の文具展を終えて
2009.07.31 ヨーロッパ伝統工芸品の佇まい カランダッシュ エクリドール
2009.07.17 バラ紙と綴じたメモとコラボメモカバー新作
2009.07.03 リスシオ1製品第1弾発売~理想の紙を作ってしまった印刷会社の社長の情熱~
2009.06.19 デュポン 「ディフィ」ボールペンリフィル
2009.05.15 ファーバーカステル新作イントゥイションに見るトレンド
2009.05.01 マーレン ~掘り下げる楽しさと万年筆の広がりのバランス~
2009.04.17 ~ペンのアクセサリーという考え方~ ペンクリップ発売
2009.04.10 変わらないという戦略~ヤード・オ・レッド~
2009.04.04 さりげなくメモをとり、生かす ~コラボメモカバー~
2009.03.27 Conplotto-10(コンプロット-ディエーチ)
2009.03.06 神谷利男著 「My Favorite Fountain Pens」
2009.02.06 ペリカン「ポーラーライト」と大人たちとの時間
憧れて、諦めていた 万年筆
仕事柄今まで本当にたくさんの素晴らしいペンを見てきました。
店に新しく入ってきたもの、お客様が修理などで持って来られたものなどの中には、強く心が動かされて、強烈に印象に残っているペンがいくつかあります。
モンテグラッパシガーは、茶色のセルロイドを葉巻のように1本の筒に見せたペンで、タバコの葉を模したクリップが付いているとてもかっこ良く、でも当時30歳になったばかりの私にはまだ早すぎると思っていました。
シェーファーコノソアールをベースにした、錫製のボディに竹の模様のアジアシリーズにも強く心を奪われました。
重すぎて書きにくくてもいい、これを自分のペンケースに入れておきたいと思いました。
今しか買うことのできない限定品で、チャンスは今しかないと分かっていましたが、経済的な理由で手に入れることを諦めていました。
同様に強く憧れて、本当に素晴らしいと思いながら手に入れることを諦めていたものに、ペリカン1931ホワイトゴールドがありました。
往年のペリカンの名品No.100の希少なモデルを復刻したシリーズのうちのひとつです。
ホワイトゴールドという名前ですが、本当にホワイトゴールドではなく、ジャーマンシルバーという素材で、スーベレーンの金属パーツに使われています。黒ずむことのない、とても扱い易い実用的な素材です。
吸入ノブはエボナイトで、そのあたりにもとてもこだわりを感じます。
良い万年筆と言えば、大きいものがほとんどですが、このシリーズは数少ない小さくて良いもののひとつで、紳士の万年筆といった風情も私の心を捉えました。
いつかこのペンを使うようになりたいととても強く憧れました。
でもすぐにホワイトゴールドも私の前から姿を消していきました。
それから何年も経って、ホワイトゴールドを見ることもなく、その存在すら忘れかけていました。
しかし先日、どこから出てきたのか、売っていただけますか、という筆記具問屋様の言葉とともに、1931ホワイトゴールドが店に入ってきました。
日頃から、自分の一番欲しいものからお客様に買ってもらうのがプロだと自分に言い聞かせていて、お客様にもそう宣言していました。
万年筆店の店主として、それが正しくお客様から信頼される店主像で、そうありたいと思っていました。
しかし、今回はそんな事は言っていられない状況でした。
憧れて、諦めてしまった万年筆が目の前にやってきたことで、プロとしての意識は薄れてしまい、調整テーブルのペン置きに置いておいた連休の3日間、お客様にお勧めしながらも気が気ではありませんでした。
そして私は結局ホワイトゴールドを手に入れてしまいました。
使い出したホワイトゴールドのキャップは収納時はコンパクトで、キャップを尻軸に差すととても使いやすいサイズになり、少し細めのボディとともに、とても実用的なサイズであることが分かりました。ペン先も硬くとても滑りの良いもので、今はこのペンばかりを使っています。
オリジナルである1931年に作られたNo100の特別バージョンも手に入れて、もう1本同じサイズのペリカンも手に入れて、字幅違いでピッタリのサイズのペンケースに収めて使いたいと私には珍しく夢が膨らんでいます。
新しい万年筆を手に入れると、仕事の時間が今まで以上にとても楽しくなりますが、とても楽しい仕事時間を過ごしています。
万年筆を使って書くことも自分の仕事だと、皆様から横取りしたこの万年筆に誓い、皆様への情報発信にも努力していきたいと思っています。

